『王将』をいつか大阪でやりたい。その思いは新ロイヤル大衆舎4人の胸の内に強くありました。同時に私は、そもそもこの劇をこのままで終わらせたくない、というのも熱く抱いておりました。ただどうやっても、あのほぼ楽屋のない下北沢楽園という劇場でやるよりも面白い場所が見当たらない。下北沢では袖に入る=強制的に外に出ちゃうに近かったわけです。道に役者が溢れてしまっていたわけです。明治大正昭和の大阪が平成の下北沢の商店街にはみ出しちゃっていた。それがなんともおかしかった。あれだけ面白いことはなかなかないなあとウンウン悩んでいたわけです。と、ひょんなことからというわけではありませんが、私今年の4月よりKAAT神奈川芸術劇場で芸術監督を務めることになりました。こちらも私ウンウンと考えていたんです。どうしたらもっとKAATが劇場なのだということをもっともっと近隣に知らしめることが出来るのだろうか。ひょいと劇がやっているんだと覗けるような方法はないものか。そうしたらムムッと思ったわけですね。KAATという劇場の一階は広場になっているんです。あそこに特設劇場を作ろう、そうすれば劇場が少なくとも1階までははみ出してくる。そこで何をやろうか、ヌオオオオッ、そうか『王将』やろやないかえ(東京出身です)。『王将』こましたらええやないかえ(東京出身で「こました」の使い方がよくわかっていません)。舞台から袖に入ると広場に飛び出しちゃう特設劇場。音が外に漏れちゃう特設劇場。これはややこしそうだ。これは本当に実現が恐ろしく大変そうだ!そして金儲けにもならなそうだ!でも神奈川の皆さんにもきっと楽しんでいただける!だって面白いもん『王将』!これや(東京人)!ということで今回はKAATと組んで、KAAT×新ロイヤル大衆舎で先ずは神奈川公演でひと暴れ。それから勢いそのまま大阪へ乗り込むこととします。それも通天閣もほど近い阿倍野の近鉄アート館でっせ(東京人)!まあ色々どうなるのかわからないけれど、どうなるのかわからないから面白いわけです。全身全霊楽しもうと思います。もちろん芸術監督としてもちゃんとします。